小児科 抄読会
小児の急性中耳炎に、
すぐ抗菌薬は要るか?
Antibiotics for acute otitis media in children(Cochrane Database Syst Rev 2023)
今日の症例
発熱と耳痛で来た2歳6か月の子に、すぐ抗菌薬を出すべきか?
外来の1場面(架空の症例。所見は国内GL2024の重症度スコアの項目に合わせて記載)
背景
多くは自然に治るのに8割超に抗菌薬が出ており、根拠を確かめる必要がある
急性中耳炎のかかりやすさと、高所得国の外来での抗菌薬処方の割合(Cochrane 2023 の背景に引用された報告)
今日の結論
コクランの結果と国内GL2024に沿えば、軽症の中耳炎は鎮痛して3日みるべきだ
この論文から言えることと、それぞれの根拠のページ(小児の急性中耳炎・高所得国の試験)
問いと論文
13試験の統合なら、抗菌薬の利益と害を同じ物差しで比べることができる
臨床の問い(PICO)と読んだ論文(Cochrane Database Syst Rev 2023年11月)
方法
今回の更新で加わったのは1試験に限られ、結論は13試験の積み上げで決まる
今回の更新の検索と組み入れの流れ(2023年2月14日までの検索、件数)と、2つの比較の規模
結果
抗菌薬は最初の1日の痛みを変えず、その後の上乗せも20人に1人にすぎない
時点別に痛みが残る子と副作用が出る子(抗菌薬 vs プラセボ、1,000人あたり)
誰に効くか
抗菌薬の上乗せは一律ではなく、痛みが残りやすい子ほど大きくなる
抗菌薬なしで痛みが残る割合を変えたときの、2〜3日目の100人の内訳(試算)
利益と害
100人に出すと副作用の増える子が痛みの減る子を上回り、説明が必要になる
抗菌薬を出さない場合と出す場合の100人の内訳(2〜3日目の痛み、嘔吐・下痢・発疹)
待つ方針との比較
経過観察と比べても、確実性が高いのは痛みの改善ではなく副作用の増加だ
比べる相手ごとの相対リスク(95%信頼区間)とエビデンスの確実性(GRADE)
批判的吟味
確実性は高いが、厳格に診断した2試験の大きな効果を見落としてはならない
抗菌薬 vs プラセボ13試験のバイアス対策と診断基準(試験数)、厳格に診断した2011年の2試験
国内ガイドライン
国内GL2024は5点以下の軽症に限り、抗菌薬なしで3日みることを推奨する
重症度スコアと重症度別の初期治療(小児急性中耳炎診療ガイドライン2024年版。入力は架空の例)
症例に戻る
症例は4点の軽症なので、鎮痛して3日後に再評価することができる
p.2 の症例の重症度スコアと方針、家族への説明、3日後の再評価の流れ(国内GL2024・Cochrane 2023)
Take home
軽症は3日みて、2歳未満の両側や耳漏では早めに抗菌薬を考えるべきだ
明日から変えることと、それぞれの根拠のページ
議論したいこと
この方針を院内で回せるかは、3日後の再評価を確実にする仕組みが決める
論点と、議論のための材料(国内GL2024・Cochrane 2023・2011年の2試験)
参考文献
数字はすべて次の一次資料から取り、試算はp.8の1か所に限る
本発表で用いた一次資料(2026年9月26日に確認)